【ストーリー】藤井恵さん 卵巣がん 子宮体がん ステージ1

卵巣がん、子宮体がん(重複がん、類内膜腺)サバイバー藤井さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】藤井恵さん 卵巣がん 子宮体がん ステージ1
  2. 第1話「痛みのひどい生理」
  3. 第2話「再度の生理の時の痛み、多量の出血」
  4. 第3話「東南アジアでのボランティア」
  5. 第4話「帰国してからの漫然とした日々」
  6. 第5話「今までにない出血。桃くらいの血の塊」
  7. 第6話「太り始める腰周り」
  8. 第7話「超音波検査でわかった卵巣の腫れ」
  9. 第8話「卵巣、卵管の手術と病理検査」
  10. 第9話「彼への告白」
  11. 第10話「病理検査結果と卵巣がん、子宮がん告知」
  12. 第11話「愛おしい一日一日。積極的な毎日へ」

第10話「病理検査結果と卵巣がん、子宮がん告知」

2014年10月に卵巣が腫れていると診断され悪性の場合は子宮も卵巣もすべて取ると言われた埼玉県所沢市在住の藤井恵さん(41歳、2014年当時39歳)は、そのことをお付き合いしている俊輔さんに説明した。それでもいいから僕のお嫁さんになってほしいと感動的なプロポーズを受けた。そして11月4日に予定通り手術が行われ3週間後に病理検査の結果を聞くことになった。

2014年11月27日
多摩北部医療センターの婦人科の待合所に3人はいた。
「藤井さんお入りください」と呼ばれ診察室に入ると主治医の先生は3人の方を向いて言った。

「検査結果だけどね、、だめだったよ」

とても重苦しい内容だがまるで藤井さんを不安にさせないような絶妙な口調で伝え説明した。
「あーやっぱりだめだったのか。子宮も卵巣も残せるかと少しは期待していたのに」そんな思いだった。

一方、母親は相当にがっかりし、俊輔さんは固まっている。
主治医は次の手術の予定と今後の治療方針について説明した。
藤井さんは悪性の卵巣がんだった。子宮は大丈夫だろうと思っていたがそちらもだめだった。

「卵巣がんと子宮体がんの重複がんです。転移ではなく同時に発生したものみたいだね。」
転移ではないというのがせめてもの救いだねと三人で話し病院から自宅に戻った。

この頃の藤井さんはというと仕事に復帰していた。
クロスワードパズルの創作であれば在宅でもできる。そして締め切りがあるから生活にメリハリがつくし仕事があるから治療もがんばれると感じていた。

そして12月4日、師走に入り年の瀬が近づいてきたころ、2回目の手術が行われた。
左側の卵巣、卵管、子宮全部を取り、リンパ節郭清も行われた。
母親、姉、俊輔さんたちが不安に待つなか手術は7時間もかかった。
不思議だったが手術を終えた夜、藤井さんは一度目の手術の時とは違いよく寝れたという。
「これも乗り越えられた」そう感じた。

それから1週間後の12月11日、1回目の抗がん剤治療が始まった。
治療は点滴で抗がん剤を入れるもので、薬はパクリタキセルとカルボプラチン。
抗がん剤が血管から漏れると漏れたヵ所の皮膚が壊死すると聞いていたので「そんな強い薬を血管の中に入れるのか…」とため息がもれた。
しかし自分を元気づけるために、抗がん剤が目に見えないがん細胞を攻撃している風景を一生懸命想像した。

この治療は翌2015年3月までは2泊3日の入院で行い、4月以降は1泊2日の入院で合計6回の治療が行われた。
治療のない日は自宅でクロスワードパズル作りをしていた。
会社は藤井さんのために自由度の高い在宅勤務を許可してくれた。

治療開始から6ヵ月後の2015年5月、全ての抗がん剤治療をやりこなした。
6月に主治医からCT画像検査の結果、問題なしと報告され、藤井さんのがん治療はすべて終了した。

「やったぁ。すべてやり切った。私の骨髄(こつずい)お疲れさま!」そんな晴れ晴れとした気持ちだった。

そして、2015年7月。
藤井さんと俊輔さんは入籍した。

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この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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