【ストーリー】松井雅彦さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー

このストーリーの目次

1. 【ストーリー】松井雅彦さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー
2. 第1話「続く微熱と喉の違和感」
3. 第2話「耳鼻科クリニックへ」
4. 第3話「がん告知」
5. 第4話「食道へのがん転移」
6. 第5話「今のうちに食べたいものを」
7. 第6話「食道がんの切除手術と胃ろう設置」
8. 第7話「放射線治療と抗がん剤治療」
9. 第8話「退院。続く厳しい日々」
10. 第9話「寛解。その後の日々」

第6話「食道がんの切除手術と胃ろう設置」

2015年10月から喉に違和感があり12月に横浜南共済病院で詳しい検査を受けた神奈川県逗子市在住の松井雅彦さん（55歳、2015年当時52歳）は、中咽頭がん、食道にがんが転移していると言われた。

２０１６年１月１２日、横浜市立大学附属病院・耳鼻いんこう科。
１月の寒い日、松井さんと妻は、検査結果を聞くために医師の元を訪れた。
待合室にいると名前が呼ばれ診察室に入る。
担当医は３０代の若い男性医師で、いつも優しく丁寧に説明する人だ。
その彼が、こう言う。
「状況を考えると、まず、食道にある転移がんのオペ（内視鏡を使用）を横浜南共済病院で行ってもらうのがいいです。今後は胃ろうが必要になりますので、胃ろうの設置もそちらで受けてください」

検査の結果は「中咽頭がん、ステージ４、食道への転移あり」
咽頭部だけであればステージ３だが、リンパ節を通して食道にがんが転移しているので総合的にみて進行ステージ４だという。
そして、中咽頭がんの治療は抗がん剤治療と放射線治療。
２クール目がきついけれど、それさえ乗り越えれば期待ができると言う。

隣に座っている妻は、ずっと泣いている。
松井さんも感極まって泣いた。
「絶対に、（がんに）負けないぞ」そんな思いを強くした日だった。

それから１週間後、松井さんは横浜南共済病院に入院し、翌日１月２０日に手術を受けた。
この日、妻と妻の友人が応援に駆け付け、全身麻酔のもと内視鏡によるオペは、２時間程かかった。

気がついたら病室のベッドに戻っていた。
麻酔の効き目が薄れてくると切った個所が何とも痛い。
激痛なのだ。
咳をするたびに、とんでもなく痛む。
内視鏡とはいえ、食道にあるがん部位を削り取る手術、傷が痛んだ。
痛みは３日ほど続いたが、その後、食事は重湯、７分がゆと替わる。
１月２５日には予定していた胃ろうの設置がされ、「これが、胃ろうか…」お腹をみてそう思った。

妻はパート仕事が終わると、毎日、病院に来てくれた。
松井さんはそれが楽しみで、妻が来るととても安心した。

１月２７日、予定通り退院。
「とりあえず、ひとつは終わった。でも、これからが本番だ」
そんな想いで気合いを入れなおした。

この記事の著者

大久保 淳一(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト（ミリオンズライフ）の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20％といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
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