乳がん(硬癌 浸潤がん) ステージ4 サバイバー 比屋根恵さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】比屋根恵さん 乳がん ステージ4 サバイバー
- 第1話「空港検査員と畜産農家の仕事」
- 第2話「転職」
- 第3話「有名な比屋根牧場へ」
- 第4話「好きな仕事だから」
- 第5話「自分の触診で気づいたしこり」
- 第6話「大きくなったしこり」
- 第7話「右乳房の生検」
- 第8話「乳腺の繊維腺腫。良性」
- 第9話「変形する乳房。激しい痛み」
- 第10話「胸水」
- 第11話「胸膜播種」
- 第12話「まるで延命治療」
- 第13話「効果が顕著に出た抗がん剤治療」
- 第14話「セカンドオピニオンと転院」
- 第15話「自分と向き合った2年半」
第5話「自分の触診で気づいたしこり」
2005年、37歳の時、転勤で石垣島に渡ったあと動物病院への転職を経て、比屋根牧場に嫁いだ沖縄県石垣市在住の比屋根恵さん(48歳、2009年当時39歳)は、結婚した2008年から生活が一変した。
畜産農家の嫁として朝から晩まで大忙しの毎日だった。
結婚から1年余りが経った2009年・春のことだった。
恵さんは38歳。
この日も朝から牧場で働き詰めだったが、昼休みの時間に家事をするために自宅に戻った。
着替えもせずにテレビをつけたら病気のことを取り上げている番組が流れていた。
詳しい内容は覚えていないが、乳がんについて説明していた。
健康診断の大切さを伝えている。
そして番組の放送中、自分でできる触診のやり方を説明した。
恵さんはテレビを観ながら真似して確認してみた。
すると…。
右胸の乳房の下にパチンコ玉よりも小さいくらいの固いコリっとしたものがある。
「あっ…、私にもある」
だが触っても痛くはない。
このときは、牧場の仕事の合間に戻った自宅で家事をさっさと済ませて牧場に戻らなくてはならないから、それ以上の行動を起こすことにはならない。
「早く仕事に戻らなくちゃ」
比屋根牧場には約130頭の牛がいる。
その世話を夫の和史さんとする毎日。
ゆっくりとする時間なんてなかった。
自分のことを考える余裕もなく目の前にある日々の課題をこなすことだけを考えていた。
だから自分の胸にしこりがあることは解ったが、まさか「乳がん」とは想像もしないし、
がんとか病気とかで毎日の歩みを止めるわけにはいかなかった。
この日この時、自分の胸にしこりを見つけていたが、病院に行かなくてはとは思わなかった。
結果的に、このままやり過ごし、あっという間に長い月日が経ってゆく。
次のページを読む >> 第6話「大きくなったしこり」この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
>>NPO法人5yearsの組織概要はこちら
-Sponsored-