【ストーリー】大山志乃香さん 子宮体がん・卵巣がん ステージ1 サバイバー

子宮体がん(子宮内膜がん)・卵巣がん ステージ1 サバイバー 大山志乃香さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】大山志乃香さん 子宮体がん・卵巣がん ステージ1 サバイバー
  2. 第1話「大学生から30代まで」
  3. 第2話「大きくなる胸のしこり」
  4. 第3話「乳腺繊維腺腫の手術へ」
  5. 第4話「子宮頸がんと子宮体がんの検査」
  6. 第5話「子宮体がん(子宮類内膜腺がん)告知」
  7. 第6話「家族・会社への報告」
  8. 第7話「腹腔鏡下子宮全摘術+両側付属器切除+骨盤リンパ生検」
  9. 第8話「同時多発」
  10. 第9話「抗がん剤治療」
  11. 第10話「寛解」
  12. 第11話「自分にできることを」

第8話「同時多発」

2015年、不正出血が続き検査した所、子宮体がん(子宮類内膜腺がん、ステージ1A)の告知をうけた広島県広島市在住の大山志乃香さん(46歳、2015年当時43歳)は、広島市立広島市民病院に転院し、手術(腹腔鏡下子宮全摘術+両側付属器切除+骨盤リンパ生検)を受けた。

フリーで家庭教師をしている夫は、午後からの仕事が多いため、毎日午前中に病院に来た。
病室で一人の食事は味気ないだろうし自分が妻にできることは何でもしたい、そう思い皆勤賞をした。
1週間の入院が終わり、大山さんは5月27日に退院。
しばらく自宅療養したあと、6月10日に職場に復帰。
すべて順調だった。

“いま、生きていることを喜ばなくてはならない”そんな想いで、復職した。

それから…、退院して3週間後の6月17日、広島市立広島市民病院。
初の経過観察で病院の外来を訪れた。
一人で気軽な気持ちで、主治医のいる診察室に入る。
すると、意外にも医師は複雑な表情をしていて、大山さんに病理検査の結果をみせた。
子宮体がんについては予想通りステージ1A期だったという。

「けどね…、卵巣に、ちょっと問題がありました」不思議なことを言い始める。

その報告書を一緒に読むと、左の卵巣に「子宮腫瘍と類似した組織像でありG1に相当するEndometriosis adenocarcinomaとみなされる所見です」とある。
そして「子宮の腫瘍との関連性についてですが、子宮腫瘍の筋層浸潤がごく浅い点、卵巣の背景にEndometriosis が診られる点より、同時多発(Double Primary )と考えられます」そう書いてあった。

“同時多発…?”テロじゃあるまいし、何のこと?英文だらけで大山さんの理解は追いつかない。
そんな、がんという病気が、子宮体がんと卵巣がんが、別々に、しかも同時に発症しているとか、意味が解んない。

「(ですので)予防的に抗がん剤治療(TC療法)をした方がいいと思います」
医師のその言葉が、胸にグサッと刺さった。

“何を言っているの?だって手術でとれば、終わりって言ってたじゃないですか!”
主治医は、人の目では確認できないがん細胞が身体の中に、まだあるかもしれないので、抗がん剤を使った全身化学療法を予防的に行うことはよくあるのだと説明する。

「先生、今日は(理解するのは)無理です。また、来週来ます」
大山さんは、そう言って、診察室をあとにした。

次のページを読む >> 第9話「抗がん剤治療」

この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
>>NPO法人5yearsの組織概要はこちら



-Sponsored-