腹膜癌 ステージ4 サバイバー 八尾智子さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】八尾智子さん 腹膜癌 ステージ4 サバイバー
- 第1話「食欲不振」
- 第2話「改善されない体調不良」
- 第3話「悪性腫瘍の疑い」
- 第4話「京都大学医学部付属病院へ」
- 第5話「検査だらけの2週間」
- 第6話「体調の悪化。確定しない病気」
- 第7話「つらくて仕方がない」
- 第8話「検査入院」
- 第9話「漿液性腺癌、腹膜がん、進行ステージ4B」
- 第10話「続く抗がん剤治療(TC療法)と気持ちの変化」
- 第11話「抗がん剤治療の終了」
- 第12話「寛解」
- 第13話「日常を取り戻して」
第3話「悪性腫瘍の疑い」
2014年・秋から食欲不振が続いていたが、あまり心配せずダイエットのチャンスと考えていた大阪府在住の八尾智子(やおともこ)さん(50歳、2015年当時48歳)は、翌年2月に毎日下痢に悩まされる。やがて下痢の色が黒っぽくなっていた。
さすがに心配になったので胃腸科専門のクリニックを訪れた。
この日、夫の浩一さん(仮名)も一緒に同行した。
担当した男性のベテラン医師がこういう。
「今日は血液検査を行い、明日お知らせします。次回は胃カメラで診てみましょう」
翌日、再びそのクリニックを訪れた。
すると「血液検査の結果CRP値が高く炎症反応が出ているので、うち(当院)では胃カメラはできないです。紹介状を書きますから他の(大きな)病院で診てもらってください」
さらっとそう言われた。
このとき、八尾さんは「(炎症反応…)何が起きているんだろう…」と少し不安になった。
なぜなら、通勤で最寄り駅まで自転車を使っていたが、この頃自転車をこぐと肩で息をするほど息切れしていたからだ。これまでそんなことなかったのに。
体調が一向に改善しない八尾さんは仕事を休み、紹介先の病院の消化器内科を受診した。
2015年3月16日のことだった。
この日さっそくCT画像検査と血液検査が行われ、さらに今後の予定として胃カメラと大腸内視鏡検査の予約が組まれた。
CTは身体に造影剤を注入し画像を鮮明にする検査で、その造影剤が点滴を通じ注入されると身体の中がかぁーっと熱くなる嫌な検査だった。
検査を終え診察室に戻ると担当した医師からCTの結果の画像プリントをもらい病院をあとにした。
そして…。
自宅に戻り落ち着いたころ、そのプリントをよく見た。
すると、画像診断医のコメントが書かれていた。
「悪性腫瘍の疑い。胸水あり、リンパの腫れあり」
その瞬間、ぞっとした。
プリントを手渡した消化器内科の医師はあの時、知ってか知らずか何も言わなかった。
でも今そう書いてある。
「もしかして、悪性腫瘍って、がんのこと…?」
あまりの衝撃で恐ろしくなった。
次のページを読む >> 第4話「京都大学医学部付属病院へ」この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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