【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー

すい臓がん(膵体部癌) ステージ4サバイバー 池田実さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】池田実さん すい臓がん ステージ4 サバイバー
  2. 第1話「IT業界を経て会社設立へ」
  3. 第2話「胃腸の不快感」
  4. 第3話「唐突なすい臓がん告知」
  5. 第4話「入院~検査ずくめの日々」
  6. 第5話「余命3ヶ月」
  7. 第6話「医師が決断したオペ」
  8. 第7話「手術を終えて」
  9. 第8話「退院・帰宅」
  10. 第9話「死の受容と抗がん剤治療」
  11. 第10話「治療の終了へ」
  12. 第11話「復職。がんから2年。」
  13. 第12話「薬の力を借りながら」
  14. 第13話「5年を迎えて」

第5話「余命3ヶ月」

2005年、62歳でITベンチャー会社を設立したが事業が軌道に乗らず苦労していた千葉県船橋市在住の池田実さん(73歳、2012年当時68歳)は、2012年8月、胃腸にわずかな不快を感じる。自宅近くの千葉徳洲会病院で診てもらうと、進行したすい臓がん(膵臓がん)だと言われた。

診断の翌日、池田さんは入院した。
妻と病室にいると看護師がやってきて、今後の予定を説明された。
MRI検査、血管が3次元の画像となって映し出される検査、血管にカテーテルを入れ造影剤を入れて内部から映し出す検査、まさに検査ずくめの日程だった。
膵臓は胃の後ろにあり、背中と腹の真ん中くらいに位置する臓器なので見えにくい。
調べるにも手の込んだ検査が多かった。

池田さんの心境は、まな板の鯉状態。
忙しくて悩む時間もないし「がんになってしまった以上、どうしようもない…」
わりと冷静な気持ちだった。
池田さんを担当した内科の男性医師は、池田さんがいない所で妻にはっきり断言した。

「腫瘍の周りにあるのは、手術で切除するのが難しい血管ばかりです。残念ですが、手術は出来ないと思います。(そうなると)もっても、あと、2~3ヵ月ではないでしょうか…」

淡々と話す医師。
妻は絶望的な気持ちになった。
検査の結果、腹腔動脈、脾動脈、脾静脈、総肝動脈に、がんが絡みつくように進行しているという。
もし、外科的にがんを取り除こうとすると、これらの大事な血管を傷つけたり、切除することになるが、そもそも取ってはいけない大事な血管ばかりだから、手術適応は、ボーダーラインを少し超えているかもしれない…ということだ。
後に病理検査でわかるが、進行性のすい臓がんでステージ4aだった。

余命3ヶ月。
あまりにも重い話。
妻は夫にそれを伝えることはできなかった。

入院して1週間後、9月上旬のことだ。
病室に外科を担当する院長がやってきた。高森繁医師だった。
今後のことを説明するので部屋に来てほしいという。
池田さんと妻が、神妙な面持ちで部屋に移ると、高森医師(当時 千葉徳洲会病院 医院長、2018年時点 五井病院 医院長)は力強くこう言った。
「私が手術をします。この診断結果では手術適用にならないし、リスクが大きいので、一般的な大学病院や有名病院では行わないろいうところが多いと思いますが、私はやります」
池田さん夫妻はその言葉に圧倒され、強い信頼感を抱いた。

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この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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