【ストーリー】三枝幹弥さん 中咽頭癌(扁平上皮癌) ステージ4 サバイバー

中咽頭癌(扁平上皮癌) ステージ4a サバイバー 三枝幹弥さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】三枝幹弥さん 中咽頭癌(扁平上皮癌) ステージ4 サバイバー
  2. 第1話「微熱とリンパ腺の腫れ」
  3. 第2話「何かが違う、おかしい」
  4. 第3話「悪性腫瘍の細胞が検出」
  5. 第4話「告知に次々と埋まる予定」
  6. 第5話「経営者のがん」
  7. 第6話「がん研有明病院へ」
  8. 第7話「ステージ4」
  9. 第8話「声か、命か」
  10. 第9話「取引先、金融機関、社員への説明」
  11. 第10話「CCRT化学療法併用放射線治療」
  12. 第11話「5分5分でわかりません」
  13. 第12話「顔面神経、舌下神経、副神経のリスク」
  14. 第13話「手術と病理検査」
  15. 第14話「戻らない体力と筋力」
  16. 第15話「中身の濃い5年間」

第7話「ステージ4」

2010年9月に左首のリンパ腺にしこりが見つかり山梨大学医学部附属病院でがんと診断された山梨県中巨摩郡昭和町在住の三枝幹弥さん(48歳、2010年当時41歳)は、耳鼻科の医師である従妹の勧めもありがん研有明病院で診てもらうことにした。

2010年10月18日月曜日、がん研有明病院(東京都江東区)
三枝さんを担当した医師は若い30代前半の男性医師で目つきが鋭かった。
ニコリとも笑わない。
しかし、この先生はこれまで何人ものがん患者を診てきたんだろうという安心感がある。
山梨大学医学部附属病院からの紹介状と資料を渡すと…。
「まちがいないですね。中咽頭がんにまちがいないです」
三枝さんが用意してきた質問を次々と聞くと、遮(さえぎ)るかのようにこう言う。

「きちんと全部検査しないと、どこががんの原発なのか解らないし、進行ステージも何もわかりません。頭頸部のがんはどんな治療を選ぶにしても結構厳しい(患者にとって負担が大きい)治療になります。だけど三枝さんがこのがん研の門をくぐった以上、私は手加減しません」

凄(すご)みを感じ少し怖くなった。
ただストレートにはっきり言ってくれるので目の前の医師は信頼できると思った。
MRI画像検査、CT画像検査、血液検査、内視鏡検査、次々と検査予約が入れられ10月末まで頻繁にこの病院に来ることになる。

一方、インターネットで中咽頭がんについて調べるたび進行ステージが気になった。
リンパ節に転移があるとステージ3以上のように書いてある。
そして何より5年生存率が20%とか、40%とかいう数字も出てくる。
だんだん恐くなってくる。

「もしかして悪い所を切ってしまえば治るという簡単な問題ではないのかな…」
夜、寝床につくと色んなことを考えだし怖くなる。
母親は顔を合わせるたびに涙を浮かべていた。
10月末、検査結果を聞くために家族そろって病院に行った。
妻・祥子さん、弟の琢弥さん、父と三枝さんの4人で担当医の話しを聞いた。
ぎゅうぎゅう詰めの診察室。鋭い目つきの担当医が言った。
「残念ながら私の想定より進行していて、ステージ4に入っています」
頭が真っ白になった。
3つの治療法を示され、4人は診察室をでた。
父親がボソッという「まるで息子を戦争に取られたみたいだ…」
祥子さんは言葉少なで呆然としている。

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この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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