前立腺がん 大腸がん(直腸がん) ステージ3a サバイバー吉田さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】吉田博行さん 前立腺がん 大腸がん(直腸がん) ステージ3a
- 第1話「貴重な経験」
- 第2話「重なる転職」
- 第3話「営業部門の宴会にて」
- 第4話「一滴も出ないオシッコ」
- 第5話「前立腺肥大の疑い」
- 第6話「前立腺がんの疑いへ」
- 第7話「検査入院。生検による細胞診。」
- 第8話「リンパ節転移。手術ができない。」
- 第9話「食欲不振」
- 第10話「嘔吐、血の混じる大便、残尿感」
- 第11話「重篤な大腸(直腸がん)」
- 第12話「アバスチンの副作用 血栓」
- 第13話「間質性肺炎の発症」
- 第14話「元気に続ける治療」
第4話「一滴も出ないオシッコ」
銀行マン、シニア俳優、コールセンター、家事代行、人材営業と様々な職種と会社を渡ってきた東京都世田谷区在住の吉田博行さん(65歳、2011年当時60歳)は、5つ目の会社で契約社員として人材営業と家事代行営業の2つをこなしていた。2011年11月、その会社の営業部門の宴席で盛り上がっていた夜のことだった。
「やっぱり今夜は1度もトイレに行っていない…」
何となく気持ち悪い状態でタクシーに乗り深夜遅くに自宅に帰った。
家に着くころにはお腹が痛み出し、自宅のトイレに駆け込む。
しかし、一滴も出ない。
「なんで、出ないんだ?」
もよおしてトイレに行っているのに小便が出ない。
出ないからトイレに行きたい気持ちのままトイレから出る。
それからは何回もトイレに行っては、1滴もでないを繰り返していた。
既に時計の針は夜中の3時を回っていた。
さすがに困りはてて妻の涼子さんを起こす。胃の痛みでもなければ、腸のあたりの痛みでもない。
お腹の奥底が痛い感じで、オシッコが出ないからだと思っている。
涼子さんも心配するがどうしようもない。
このとき吉田さんは40歳の時に経験した「胆石(たんせき)」のことを思い出していた。
あの時も痛くて七転八倒した。それに似ている。
東海銀行の厚木支店に勤務していた頃のことで夜中から朝方にかけて腰のあたりが痛くなりタクシーを呼び救急で国立病院機構 東京医療センターに行った。
救急治療室でのたうち回り「まさかこのまま死んでしまうのではないか?」そんな気持ちすらしていた。
胆嚢(たんのう)に石がつまっているとの診断でさっそく手術。
手術後に体質的に胆石ができやすいから気を付けてと言われたことを思い出していた。
しかし、いまの痛さは場所が違う。つらさは同じだが、胆石ではないのはわかる。
このままだと膀胱(ぼうこう)が破裂しちゃうんじゃなかろうか?
オシッコが出ないことで尿の毒素が身体に逆流して命を脅かすかもしれない?
極端なことばかりが頭の中でよぎっていた。
タクシーを呼び涼子さんと一緒に東京医療センターに向かった。
次のページを読む >> 第5話「前立腺肥大の疑い」この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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