甲状腺がん 濾胞癌 乳頭癌 肺転移ステージⅡサバイバー 小西さんのがんに関するストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】小西麻子さん 甲状腺がん 濾胞癌 乳頭癌 肺転移ステージ2
- 第1話「妊娠中の副鼻腔炎」
- 第2話「甲状腺の腫れの意味」
- 第3話「母として、妊婦として、システムエンジニアとして」
- 第4話「出産間近で始められない治療」
- 第5話「3人の育児と多忙な日々と手術」
- 第6話「切除組織の病理検査結果と転移の可能性。」
- 第7話「甲状腺の全摘手術へ」
- 第8話「肺への転移と3回目の手術」
- 第9話「放射性ヨウ素内用療法。隔離された病室」
- 第10話「長く続いた治療から日常へ」
第7話「甲状腺の全摘手術へ」
三女の出産のあと右首の腫れものを取る手術を受けた大阪府豊中市在住の小西麻子さん(36歳、2015年当時34歳)は、病理検査の結果、悪性腫瘍だったと言われた。そして2回目の手術を行い甲状腺の全摘をすることになっていた。
小西さんのすごいところは、がん患者にありがちな悲壮感がない。
持ち前の明るい性格がなす業なのか、もっとすごいこと(例えば3人の子育て)をこなしているからなのか、くよくよしたり、考えても仕方ないことを考えて時間を止めてしまうようなことがない。
4月の手術入院の前日まで、ご主人と一緒の趣味のフットサルに興じていたほど明るい。
2015年4月20日、甲状腺全摘手術の日。
3時間半かかりぶじに終えた。
退院間際に担当の医師との面談があった。医師はレントゲン画像を示しこう言う。
「ここと、ここに、肺の影があるんですよ。状況的にみて甲状腺がんの転移によるものだと思われます。とりあえず1度退院して頂いて、次は呼吸器外科を受診してください」
ショックだった。でも、次に進まなくてはとさっそく予約をしようとしたらゴールデンウィーク後は予約でいっぱいで呼吸器外科の外来は1ヶ月先の5月23日となる。
「もうちょっとシャキシャキできんのかなあ」と大病院のスピードに呆れた。
一方、仕事はというと理解のある職場だったので小西さんの都合に合わせたコマ切れの出社が許された。会社は小西さんを必要としていた。
悪性だったと上司に伝えたが、可能であれば一度復帰してほしいと言われる。
三女の出産後初めて4月1日に会社に復帰すると、入院(4月20日)までの2週間ほど出社。4月の終わりに退院してゴールデンウィークが明けた5月7日より再び仕事に復帰。
肺に影はあるが、再び3人の娘の育児と仕事という忙しい毎日をこなしていた。
そして5月23日に呼吸器外科で診察が行われ、6月初旬CTレントゲン検査があった。
そのCT画像を見た呼吸器外科の担当医はこう言う。
「この影が何なのか画像だけではわかりませんが、恐らくがんの転移だと思います」
手術の説明を受けた小西さんは、肺の手術ができるんだ…、新鮮な驚きを感じ安心した。
説明では胸腔鏡で患部をつまんで取るだけなので、手術自体は1時間程で終わるとのこと。
「先生、またフットサルをできますか?」
一番の関心事を質問すると、日常生活には問題ありませんよという嬉しい話だった。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
>>NPO法人5yearsの組織概要はこちら
-Sponsored-