【ストーリー】小西麻子さん 甲状腺がん 濾胞癌 乳頭癌 肺転移ステージ2

甲状腺がん 濾胞癌 乳頭癌 肺転移ステージⅡサバイバー 小西さんのがんに関するストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】小西麻子さん 甲状腺がん 濾胞癌 乳頭癌 肺転移ステージ2
  2. 第1話「妊娠中の副鼻腔炎」
  3. 第2話「甲状腺の腫れの意味」
  4. 第3話「母として、妊婦として、システムエンジニアとして」
  5. 第4話「出産間近で始められない治療」
  6. 第5話「3人の育児と多忙な日々と手術」
  7. 第6話「切除組織の病理検査結果と転移の可能性。」
  8. 第7話「甲状腺の全摘手術へ」
  9. 第8話「肺への転移と3回目の手術」
  10. 第9話「放射性ヨウ素内用療法。隔離された病室」
  11. 第10話「長く続いた治療から日常へ」

第5話「3人の育児と多忙な日々と手術」

妊娠中に右首に腫れが見つかり検査の結果、腫瘤(しゅりゅう)という診断が下りた大阪府豊中市在住の小西麻子さん(36歳、2014年当時33歳)は、紹介先の大阪大学医学部附属病院で「まず赤ちゃんを産んで、それから腫瘤を取りましょう」と言われていた。

3人目の子供が生まれた小西さんは大忙しの毎日だった。
長女5歳、次女1歳。そして三女0歳。
3人分の育児を一手に背負い家事もこなしていた。

10月の中旬に大阪大学医学部附属病院を再び訪れた。
一通りの検査の後、担当医からこう言われる。
「(腫瘍マーカー)サイログロブリンが1933ng/mlという高い値を示しています。あと首の腫れものも前回より大きくなっていますから、細胞診をもう一度やりましょう」
(*)1000ng/mlを超えると悪性の可能性が高まるが、1000以上でも良性の場合もある。

それから1週間後、再び首の組織を取って検査した結論は、「取るしかないから手術をお勧めします」というものだった。

生れたばかりの赤ちゃんを抱える小西さんの悩みは自分が入院したら赤ちゃんの世話ができないことだ。
できれば三女が保育園に通っているだろう4月以降に手術をしたいが、それでは半年も先になる。
幸い小西さんはご両親と一緒に住んでいた。
同居している母親に相談すると赤ちゃんが大きくなって動き回るようになると大変だから、まだ手のかからない3ヶ月くらいのうちだったらありがたいと言われた。

実は小西さんの母親は腰に人工関節骨頭が入っていて子供の抱っこは難儀だった。
「じゃあ3ヶ月先の1月」ということになり手術は2015年1月23日と決まる。
小西さんの首の腫れものはすでに結構大きくなり、まるで首にピンポン玉が入っているかのようだった。

でも「良性」だと信じていたから「取ったら、それで終わり」と思っていて、万が一にでも悪性でも命にかかわるものではない。そんな風に楽天的に考えていた。
だからご主人も家族もみんな「取ったら終わり」を信じていた。
そして年が明けて迎えた、1月23日。
小西さんは病室で手術着に着替え、点滴を受けながら手術室に入っていった。

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この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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