【ストーリー】阿部久美子さん 乳がんステージ2(ルミナルA) サバイバー

乳がんステージ2(ルミナルA) サバイバー 阿部久美子さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】阿部久美子さん 乳がんステージ2(ルミナルA) サバイバー
  2. 第1話「生命保険会社への転職」
  3. 第2話「乳がん検診と子宮がん検診」
  4. 第3話「本当に自分のやりたい仕事」
  5. 第4話「右の乳房の上にしこり」
  6. 第5話「良性か、悪性かは半々の確率」
  7. 第6話「メスを入れたくない」
  8. 第7話「民間療法を試す」
  9. 第8話「生検」
  10. 第9話「乳腺悪性腫瘍手術と乳房再建手術」
  11. 第10話「手術」
  12. 第11話「ホルモン療法と遊離皮弁術(乳房再建術)」
  13. 第12話「自宅療養と仕事の開始」
  14. 第13話「3回の『ゼロからスタート』」

第13話「3回の『ゼロからスタート』」

乳がん(ホルモン受容体・陽性、HER2・陰性タイプ(ルミナルA))と診断され、乳腺悪性腫瘍手術(乳頭乳輪温存乳房切除術)とエキスパンダーを右胸に入れる組織拡張器による再建手術)を受けた神奈川県大和市在住の阿部久美子さん(44歳)は、ホルモン療法(リュープリン、タモキシフェン)の後、腹部の脂肪を右胸に移植する遊離皮弁術(乳房再建術)を受けた。

2017年4月、がん摘出の手術から1年が経過した。
乳房再建の手術からは4ヵ月だが、がんから1年間経ったことに気づいた。
時間が経つにつれ、また、できることが増えていく。
仕事で使う車の運転もできるようになった。

電車にも乗れるし、立ってつり革につかまることもできる。
5月までの服装は、スウェット、ジーパンにスニーカーという疲れにくい服装で仕事をしていたが、6月からは、再びビジネススーツに革靴で働いている。

そして今年8月、週に5日間も働けるまでに回復した。

どんどん、かつての自分を取り戻している。

1回目の「ゼロからスタート」は、退職して独立したとき、2回目は前年、乳がんの手術を受けたあと。
そして、3回目は乳房再建手術を受けた2017年1月。
打ちのめされるたびに這い上がって、再び生活を取り戻してきた。
そして都度、大切な何かをもらい受けてきた気がする。

一時は、病室のベッドから起き上がれず、顔も洗えない、お風呂にも入れない、トイレにも行けない、そんな状態の時期があった。
そこを起点にしたら、すごい高みまで登ってきている。

家族、友人、お客さんたち、会社の人、そして彼氏、感謝してもしきれない人たちに囲まれ、自分の仕事をさせてもらえることのありがたさをかみしめる。

不思議なもので、新たに知り合うお客さんに自己紹介する際、がんを患ったことを明かすと、相手の人が心を開いてくれて話が弾むことがある。
そんな“心から出る言葉”で営業が出来るようになったと思うと嬉しい。

かつては営業成績とか数字を大切に思い、実績を追いかけがちな自分がいた。
しかし今、本質的な価値とはそう言うものではないと感じていている。

本質を追求する豊かな人生、そちらにシフトしているのが解かる。

人生の本質を理解し、それを追い求める人生。
そのスタートラインに立った。

>>阿部久美子さんの「インタビュー」はこちら

>>阿部久美子さんの「がん経済」はこちら

取材:大久保淳一

この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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