精巣腫瘍(ステージ不明) サバイバー 原健悟さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】原健悟さん 精巣腫瘍(ステージ不明) サバイバー
- 第1話「睾丸の腫れ」
- 第2話「泌尿器科へ」
- 第3話「精巣腫瘍と転移」
- 第4話「高位精巣摘除術」
- 第5話「BEP療法」
- 第6話「徐々に始まる副作用」
- 第7話「寛解。治療終了」
- 第8話「みんなが喜び、復職へ」
- 第9話「次の目標に向かって」
第3話「精巣腫瘍と転移」
2016年1月に自宅で入浴中に右側の睾丸が左の1.5倍くらいに腫れていることに気付いた関西在住の原健悟さん(49歳、2016年当時47歳)は、社会福祉士の国家試験が終わった後、市内のクリニックを受診した。そして詳しく調べてもらうために市立病院に行く。
2016年1月25日午後、市立病院・泌尿器科。
医師の指図に従い、造影剤を身体に入れて撮影するCT画像検査を受けた。
検査室の中に一人で横たわり、造影剤が自動で注入されると身体がカーッと熱くなった。
初めて受けた検査だったが、いまは医師に身をゆだねていた。
撮影が終わり、再び待合室で待っていると名前が呼ばれた。
診察室に入ると、今後、原さんを担当する医師はこの人になりますと別の医師の紹介を受ける。
眼鏡をかけた、ぽっちゃり型の体形の男性医師で、口調が穏やかな人だった。
そしてその主治医から、検査の結果の報告を受けた。
「精巣腫瘍です。後腹膜のリンパ節に転移している可能性があります。今後は高位精巣摘除術を行います。そして最終的な治療法として抗がん剤を用いたBEP療法を行います」
?? あまりにも専門的な用語が多く、しかも、唐突な内容なので原さんはその主治医が説明していることが理解できない。
「腫瘍」という言葉から「脳腫瘍」を連想し、抗がん剤というので、がんなんだろうということは解った。
高位精巣摘除術が手術で、BEP療法が抗がん剤治療を意味することもなんとなく解る。
ただ、医師が使う専門用語「セミノーマ」とか、何のことだかよく解らない。
だから、何を質問したら良いのか解らないほど理解が追いつかない。
しかし、その医師が最後に言った言葉は強く胸に刺さった。
「根治を目指しましょう」
…根治。
つまり、自分のがんは治すことができるものなんだ…、そう思い、希望を持つ。
「先生、手術は最短でいつ可能ですか?」
答えを用意していた医師は返す。「今週の金曜日に手術が可能です」
つまり、3日後に入院し、4日後に手術をするということだった。
進行スピードの速い精巣腫瘍(睾丸がん)。
事態は急速に展開していった。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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