【ストーリー】久田邦博さん 慢性骨髄性白血病 サバイバー

このストーリーの目次

1. 【ストーリー】久田邦博さん 慢性骨髄性白血病 サバイバー
2. 第1話「血液検査」
3. 第2話「高い白血球の値」
4. 第3話「慢性骨髄性白血病の可能性」
5. 第4話「骨髄穿刺」
6. 第5話「骨髄移植かインターフェロンか」
7. 第6話「インターフェロン入院治療の開始」
8. 第7話「死を意識して」
9. 第8話「イマチニブへの切替えと異動」
10. 第9話「16年が経って」

第2話「高い白血球の値」

2001年、転勤に伴い新たな病院が必要になったため神奈川県の総合病院を受診し、初診で血液検査を受けた愛知県名古屋市在住の久田邦博さん（54歳、2001年当時38歳）は、会社に戻ると白血球の値が高いので病院に戻ってきてほしいと連絡を受けた。

「きっと良い連絡ではないな…」
そう思い、すぐに先ほど受診した病院に戻った。
担当した医師は淡々とした口調でこういう。
「血液検査の結果、白血球の値が２８，０００まで上がっています。血液内科の担当医が常勤している病院で診てもらってください。紹介状を書きます」

このときは「ふ～ん、そうなんだ」とまだ状況を理解するまでには至らなかった。
久田さんは自宅に近い別の総合病院への紹介状を書いてもらう。
そして診察室を出ようとしたとき、若い真面目そうな男性医師が目をぐっと見つめて
「絶対にすぐその病院にかかってください」そう言った。

その真剣さから久田さんの動揺が始まった。
病院の玄関口で早速紹介された病院に電話する。
今から受診できるかどうか尋ねたが応対した女性から「今日の受付はもう終わりましたので明日またお越しください」と返された。

この日、帰宅しさっそくインターネット検索を始めた。
頭の中に“ヤバい”という気持ちがある。
だからその気持ちを否定したくて情報を探す。
久田さんには４人の子供がいた。
１０歳、８歳、６歳、４歳、とまだ幼い男の子ばかり。みんなかわいい盛りだ。

インターネットで白血球数が３万近くまで上昇する病気で、すぐに治る病気を探すがそれが出てこない。
入力したキーワードは、「自覚症状なし」、「白血球３万個」、「深刻らしい」
検索上位に表示される病名は「慢性骨髄性白血病（CML）」だった。
過去に観たことがある白血病患者のテレビドラマが頭によぎる。
それでもと思いちょっとした感染症で白血球の数が３万くらいまで上昇するものを探すが、しかしそれが出てこない。
だから今度は慢性骨髄性白血病について調べ出す。
色んな情報がある中で予後３～５年で他界と言う記載に目が行った。

正直恐ろしかった。
白血病＝死のイメージが強かった。

この記事の著者

大久保 淳一(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト（ミリオンズライフ）の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20％といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
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