大腸がん(下行結腸がん)ステージ2~3 サバイバー 岩井ますみさんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】岩井ますみさん 大腸がん(下行結腸がん)ステージ4サバイバー
- 第1話「毎年の健康診断」
- 第2話「検査報告書の便潜血・陽性+」
- 第3話「大腸内視鏡検査」
- 第4話「11月下旬の寒い夜」
- 第5話「大腸がんの確定診断」
- 第6話「毎週の検査と仕事への不安」
- 第7話「やりたい仕事を断るつらさ」
- 第8話「手術と退院後の仕事」
- 第9話「腫瘍マーカー。肝臓への転移」
- 第10話「抗がん剤(TS-1)治療」
- 第11話「手術~抗がん剤治療。強い副作用」
- 第12話「がんの告知から3年半」
- 第13話「これまでのキャリアと向き合って」
第1話「毎年の健康診断」
「がんが肝臓に転移しています」
担当医からそう言われた。
これまでいろいろあったけど、今までで一番ショックだった。講師を担当しているカルチャースクールのクラスが始まっているのに、またキャンセルすることになる。
言葉にならなかった。
会社勤めを辞めフリーランスとして独立し仕事をこなしてきた千葉県市川市在住の岩井ますみさん(53歳、2007年当時43歳)は健康に意識して生活していた。
14年前の29歳のときに独立して以来さまざまな仕事をしてきたが、自分で企画し講師をつとめるため代わりの人がいない仕事ばかりだ。
穴を開けるわけにはいかない。
だから普段の体調には人一倍気を使い毎年の健康診断をしっかり受けていた。
2007年12月、43歳の年。
例年通り12月に検査を受けた所、検査報告書の便潜血の箇所がいつもと違っていた。
2日に分けて2回のサンプルを採取するが、そのうち1本に「便潜血・陽性+」と報告された。
「10年以上、健康診断の結果は“問題なし”のA判定が続いていたのに…」
診断結果には「要・精密検査」の文字が便潜血と貧血につけられていた。
このとき医師から「貧血に関しては、食事に気をつけ、様子を見てみましょう」と言われた。
しかし、便潜血については精密検査を勧められたような気もするが強くいわれた記憶がない。
この頃の岩井さんは仕事と父親の世話で忙しかった。
三姉妹の末っ子として生まれ育った岩井さんは両親と同居して生活していたが、時々倒れてしまう父親の世話をしていた。
頭はしっかりしているが高血圧で脳梗塞の経験もある80歳代の父親は調子が悪い時に倒れてしまうことがあった。
多いときはひと月に数回倒れることもあり、気が気ではない。
そしてこの頃、父親も健康診断の便潜血で引っかかり既に精密検査の予約が入っていたため、岩井さんはその事で頭がいっぱいだった。
そして、仕事はというとカルチャースクールの講師、執筆、講演会等と各地を出張して飛び回る多忙な生活が続いている。
父親の世話と仕事の忙しさから、このとき自分の身体のことを深刻には捉えていなかった。
次のページを読む >> 第2話「検査報告書の便潜血・陽性+」この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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