乳がん ステージ2B(トリプルネガティブ) サバイバー 松下裕子さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】松下裕子さん 乳がん ステージ2 サバイバー
- 第1話「体調の異変」
- 第2話「手術とその後の生活」
- 第3話「右胸のしこり」
- 第4話「乳がん ステージ2B トリプルネガティブ」
- 第5話「抗がん剤治療の開始」
- 第6話「抗がん剤(FEC)の副作用と効果」
- 第7話「抗がん剤(パクリタキセル)治療」
- 第8話「乳房温存型の部分摘出手術」
- 第9話「治療の終了とがん再発への不安」
- 第10話「明るい光のさすほうへ」
第3話「右胸のしこり」
2010年10月、仕事中にかゆみから右胸を触ってみたら3㎝くらいのゴリッとしたものに触れた神奈川県足柄郡在住の松下裕子さん(50歳、2010年当時43歳)は、思い当たる節がなく、何だろうと思った。
気になるので、そのグミのようなものを触り続けた。
やがて、痛くなる。
痛痒(かゆ)い感じ。
休憩時間に職場の仲間に明かして触ってもらった。
「本当だね、確かにあるね。病院で診てもらった方がいいよ」
この日帰宅して夫にも打ち明けると、同じことを言われる。
「確かに、ある。乳腺炎か何かかな?病院に行った方がいいよ」
素人ながら夫なりに一生懸命に考えて言ってくれた。
詳しい検査というと、すぐにマンモグラフィーを思いついたので、松下さんはタイミングを見計らった。
毎月の排卵の頃には胸が張ってしまうので、その頃を避け普通の時に診てもらおうと検査日を遅らせた。
2010年11月初旬、隣町にある内科クリニックを訪問。
今後、詳しい検査のために国際医療福祉大学熱海病院でも診てもらいたいと伝えると、
「気軽に国際医療福祉大学熱海病院に行ってくればいいですよ。診察してもらって、乳がんじゃないと解れば安心するでしょ」
そう言われ心強かった。
なぜなら、右胸のしこりを見つけてから、毎日「もしかして、乳がんかもしれない…」と考えてしまい何をしていても笑えなかった。
テレビのお笑い番組を観ても、全然可笑しくないのだ。
2010年11月19日、国際医療福祉大学熱海病院・乳腺外科。
診察室に入ると30代後半の優しそうな風貌の男性医師が座っていた。
問診、そして、ベッドで横になって行われる触診。
医師は、まず問題のない左胸を触診し、その後、しこりのある右胸。
慎重に触れていき、それに当たった瞬間、手の動きが止まった。そして、こういう。
「いま言っちゃうけど、ゴメンね。これは、ほぼ間違いなく「がん」です。大至急、マンモグラフィーを撮ってきてください。あと、エコー検査と、生検もさせてもらいます」
松下さんは涙が出てきて止まらなくなる。
「先生、私、死んじゃうの…?」
医師は、優しく答えてくれた。「僕が助けてあげます」
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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