乳がんステージ2(ルミナルA) サバイバー 阿部久美子さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】阿部久美子さん 乳がんステージ2(ルミナルA) サバイバー
- 第1話「生命保険会社への転職」
- 第2話「乳がん検診と子宮がん検診」
- 第3話「本当に自分のやりたい仕事」
- 第4話「右の乳房の上にしこり」
- 第5話「良性か、悪性かは半々の確率」
- 第6話「メスを入れたくない」
- 第7話「民間療法を試す」
- 第8話「生検」
- 第9話「乳腺悪性腫瘍手術と乳房再建手術」
- 第10話「手術」
- 第11話「ホルモン療法と遊離皮弁術(乳房再建術)」
- 第12話「自宅療養と仕事の開始」
- 第13話「3回の『ゼロからスタート』」
第9話「乳腺悪性腫瘍手術と乳房再建手術」
2016年1月、生検の結果、乳がん(ホルモン受容体・陽性、HER2・陰性タイプ(ルミナルA))と診断された神奈川県大和市在住の阿部久美子さん(44歳、2016年当時43歳)は、聖マリアンナ医科大学病院を訪れた。
2016年2月19日、聖マリアンナ医科大学病院・乳腺外科。
この日、外来で診察したのは医局長を務める男性医師だった。
眼鏡をかけた物腰の柔らかな人で、すらりとした医師だった。
後に解るが横浜労災病院で阿部さんを担当した女性医師とは知り合いで、聖マリアンナ医科大学病院での先輩・後輩の関係だったと言う。
世間は狭いものだ。
この男性医師は詳しくゆっくりと解説し、阿部さんが納得できる説明をした。
しかも、温存型の部分摘出にするか、全摘出にするかを選ばせてくれるという。
話しているうちに、自然と打ち解け、こう言っていた。
「先生、私、手術を受けたいです。悪いものは取り除いて下さい」
正直、ホッとした。
これで前に進めると思った。
予定されたオペは、乳腺悪性腫瘍手術(乳頭乳輪温存乳房切除術)とエキスパンダーを右胸に入れる組織拡張器による乳房再建手術。
その男性医師が自らが執刀することになり、手術日は4月1日と決まった。
一方、阿部さんの生活はと言うと…。
乳がんが発覚する少し前から交際が始まった男性がいた。
3年前に1度会っていたが、友人からの紹介で再び会ったのがきっかけだった。
家が近くだったこともあり時々、夕食を一緒に食べた。
正直、複雑な想いだった。
がんを発症し、改めて、人生を生きていくうえでパートナーとか家族がいることの大切さを感じる。
だけど、「乳がんで可哀そうだから付き合う」なんてのは嫌だった。
彼がそんなことを思っているかどうか解らないが、このつらい時期にドライブに誘ってくれたり、沈みがちな阿部さんを楽しませてくれる。
つきあってほしいと正式に言われた時は、正直、困った。
なんで…?なんで、私なの?これからがん治療が始まる私なんかで良いの?
世の中に健康体の人はいっぱいいるのに。
ただ…、彼は無条件の優しさで接してくれた。
本当にありがたいと感じた。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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