大腸がん(直腸がん) ステージ4 サバイバー 安谷さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】安谷恵美子さん 大腸がん(直腸がん) ステージ4
- 第1話「神経性腸炎か過敏性腸炎?」
- 第2話「改善されないお腹の痛み」
- 第3話「腸閉塞での人工肛門。直腸がんと肝臓への転移」
- 第4話「CVポートでの抗がん剤治療(FOLFIRI療法)」
- 第5話「2度目の手術。腹腔鏡での直腸切除、転移のある肝臓切除。」
- 第6話「後半6クールの抗がん剤治療。家庭への不安。」
- 第7話「順調ではない経過」
- 第8話「続く頻繁な下痢(げり)」
- 第9話「再発した大腸がん」
- 第10話「かわり始めた家族のかたち」
第10話「かわり始めた家族のかたち」
2014年の腸閉塞から始まり大腸がん(直腸がん)、翌年すべての治療を終え、2016年に熊本城マラソンに復帰した熊本県熊本市在住の安谷恵美子さん(51歳、2016年当時51歳)は、その年4月に熊本地震に被災し、秋に直腸がんの再発を経験する。
「私は何があっても死ぬ気がしないんですよ!むしろ自分が弱気になった時があぶないと思います」
目の前で力強く答えてくれる安谷さん。
思いを語る彼女に強い父親のDNAが受け継がれているのだという。
安谷さんの父親はかなりの鉄人で、胃がん、心不全、胆石、その他様々な病気を乗り越えてきて今もなお健在だ。
これだけ色んな病気をしてきたにもかかわらずお酒を酒豪のようにたしなみ、破天荒(はてんこう)な人生を楽しんでいる人だという。
そんな鉄人の娘だから自分も大丈夫だと信じている。
病気は嫌だし、手術も入院も嫌だけど、だからこそ得られるものがあると感じ始めている。
病気する前、安谷さんは家事をしっかりこなす妻であり、母であり、良い嫁だった。
しかし、病気の治療により無理がきかなくなり、入院しがちで家にいないため、これまで安谷さんがすべてこなしてきた家事を少しずつ夫と娘たちが協力してやるようになっているという。
家族の形がちょっと変わってきた。
今は安谷さんが理想とする家族の形に近づけば嬉しいと希望が持てるようになっているという。
がん患者になったことで病気前のように一生懸命にやり過ぎたり、我慢しすぎたりしなくていいと思えるので気が楽になった。
失うものも多いけど、逆に得られたものが少しずつ大きくなってきている気がする。
身体の不自由さとは裏腹に、ずっと心に引っかかっていたトゲみたいなものが取れていく、希望のようなものが湧いてきた。
退院して体力が戻ったらまた走りたい。
フルマラソンでなくとも、5km、10kmの大会でいいからまた走りたい。
父親ゆずりの鉄人・安谷さんは今から楽しみなことに目を向けている。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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