中咽頭がん ステージ4 サバイバー 本園泰さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】本園泰さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー
- 第1話「口の奥に違和感」
- 第2話「舌根に腫瘍」
- 第3話「中咽頭がんの疑い」
- 第4話「ステージ4」
- 第5話「<a href="https://kyushu-cc.hosp.go.jp/" rel="noopener" target="_blank">九州がんセンター</a>への転院」
- 第6話「IMRT(放射線化学療法)」
- 第7話「限定的な治療効果」
- 第8話「11時間の手術」
- 第9話「がん治療の終了」
- 第10話「心から幸せをかみしめて」
第8話「11時間の手術」
中咽頭がん(ステージ4、扁平上皮がん、HPV型)を告げられ、2016年4月よりIMRT(放射線化学療法)を受けていた福岡県福岡市在住の本園泰さん(60歳、2016年当時58歳)は、治療効果が限定的だったため手術を勧められた。
病院側の治療方針としては、次は手術とされたが最後は本人が決めることになっていた。
5月26日、診療科長の回診の時、自ら手術を受けたいとし申し出て了承される。
その後は、一旦5月末に退院し6月16日に再度入院。
2016年6月20日、九州がんセンターで本園さんの手術が行われる日。
舌根に大きながん病巣があるため、そこを切除するには頸部(首)を左右に切開し下からしっかりと切り取らねばならない。
つまり首を切るのだ。
また手術後の機能障害(喋られない、食べられない)を抑えるため、同時再建も行われる。
(手術前日)
“同時再建”、身体の一部(本園さんの場合、左太ももか腹部)から組織(肉)を切り取り舌根に移植すると言うもの。
更に頭頸部のリンパ節郭清も予定された。
この日、妻と3人の子供たちが見守る中、午前9時に手術室に入りオペは11時間もかかった。
HCU(高度治療室)で目が覚めた。
この11時間は麻酔が効いていて記憶がない、だから一瞬よく解らなかった。
でも次の瞬間我に返り「あー、手術しとったんやな」ゆっくり思いだす。
先ず確認のため左足を動かしてみた。
するとズキッと痛む。
「(舌の再建のため)ここを取ったんだ…」
気道を確保するために喉にチューブが取り付けられていて、そこに痰が詰まる。
すぐにゼコゼコと息苦しくなるから30分おきにナースコールをしてバキュームで吸い取ってもらう。
うっかり寝落ちしたら、ナースコールできず大変なことになりやしないかと怖くて仕方がない。
身体中が痛いし、色んな管が取り付けられていて不快極まる。
当然しゃべることはできないし、とにかく打ちのめされたように痛い。
そんなさなか担当医が来て「明日からがんばって歩きますよ」と言う。
筆談でコミュニケーションを取るが、こんな身体で立って歩くなんてできるのかと心配で仕方がなかった。
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大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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