【ストーリー】本園泰さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー

中咽頭がん ステージ4 サバイバー 本園泰さんのストーリーです。

このストーリーの目次

  1. 【ストーリー】本園泰さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー
  2. 第1話「口の奥に違和感」
  3. 第2話「舌根に腫瘍」
  4. 第3話「中咽頭がんの疑い」
  5. 第4話「ステージ4」
  6. 第5話「<a href="https://kyushu-cc.hosp.go.jp/" rel="noopener" target="_blank">九州がんセンター</a>への転院」
  7. 第6話「IMRT(放射線化学療法)」
  8. 第7話「限定的な治療効果」
  9. 第8話「11時間の手術」
  10. 第9話「がん治療の終了」
  11. 第10話「心から幸せをかみしめて」

第10話「心から幸せをかみしめて」

中咽頭がん(ステージ4、扁平上皮がん、HPV型)を告げられ、2016年4月からIMRT(放射線化学療法)を受けていた福岡県福岡市在住の本園泰さん(60歳、2016年当時58歳)は、治療効果が限定的だとして11時間に及ぶ手術を受けた。

リハビリ科に通う毎日。
舌を使って食べること、上手に話すこと、どういうリハビリが効果的なのか医師にきいてみた。
すると「それは、もっとたくさん喋ることです」そう言われた。
だから、滑舌がイマイチだけど恥ずかしがらず看護師と理学療法士に話しかけた。
それからは、どんどん食べられる食事が増えていき話すことも上達する。
入院から1ヵ月半が経った8月1日に退院した。

退院後間もなくして会社に復帰した。
「復職」本当に嬉しかった。
社長として自分の会社に戻ってきたのだから。
最初のころは、朝8時から午後2時までの勤務と安全運転で始めたが徐々に時間を延ばした。

8月中旬、スポーツジムにも復帰。
体力と筋力を戻したかったからだ。
ジムにあるトレッドミルを使ってジョギングも再開。
10月には合計で38kmも走った。
その後は11月に78km、12月に97kmと月間走行距離を伸ばしていく。
年が明けて、2017年2月26日、大川木の香マラソン(福岡県)の10kmの部に参加。
61分40秒で完走する。


(2016年大川市木の香マラソン)

驚異的な体力の回復だ。

そして6月、妻と友達6人でハワイに1週間の旅行をした。
手術から1年のお祝い旅行で、妻への感謝の気持ちでもあった。


(平成29年6月ハワイ旅行)

なぜなら当時、毎日病院に見舞いにきてくれた妻にお礼をしたいとしてリクエストを聞いたら「あなたと旅行に行きたい」そう言われたからだ。
自分に尽くしてくれた妻、本当にありがたいと感じた。

帰国して更に嬉しいニュースが届く。
11月に開催される2017神戸マラソンに当選したのだ。
左脚の太ももは移植のため肉が切り取られている。
しかもランニングに復帰してまだ1年も経っていない。
ハンディキャップはあるものの、神戸マラソンでフルマラソンに復帰すると意を決した。

それからは練習に熱が入った。
自らのランニングコースである福岡大濠公園を3時間かけて長く、ゆっくり走るLSDをしたり、9月にはハーフ(21km)を2時間半と走力をつける。

そして迎えた2017年11月19日、神戸マラソンの日。
2年半ぶりのフルマラソン完走を目指し、淡々と走った。
30km地点を超えてから、脚が痛くなり時々歩いてしまう状況。
しかし、粘って41kmを超えてから再び走り出し、42.195kmは泣きながらのゴール。


(平成29年11月神戸マラソン完走)

「病気の向こう側の世界から、生きた、こっちの世界に戻ってこられた」
それを実感した瞬間だった。
重いがんを経験したから、再びフルマラソンを完走したことで少し安心した気持ちになれた。

その後も順調に体力は回復し、翌2018年2月、みたび北九州マラソンを完走。
11月の神戸マラソンより10分も短縮して5時間56分。

そして3月には還暦を迎え、6月にはがんから2年の節目を迎える。
その6月は格別に嬉しかった。
中学校の同窓会が開かれたからだ。
みんな60歳、還暦の人たちの同窓会。
本園さんが病気をしたことを知っている友人たちは、元気に会場に現れた級友に「よかったなぁ」と心から声をかける。

友人たちと普通に食べて、普通にしゃべれる自分。
心から幸せをかみしめた。

治療後、一時は腕が上に上がらず難儀したが、今ではジムの鉄棒にぶら下がれるし、ミッション車の運転だってできる。
身体の機能は今も回復し続けている。

次のマラソン大会は今年(2018年)12月に宮崎県で開催される青島太平洋マラソン。
それを楽しみにランニングを続けている本園さんだ。

取材:大久保淳一

この記事の著者

(5yearsプロフィール)

日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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