中咽頭がん ステージ4 サバイバー 本園泰さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】本園泰さん 中咽頭がん ステージ4 サバイバー
- 第1話「口の奥に違和感」
- 第2話「舌根に腫瘍」
- 第3話「中咽頭がんの疑い」
- 第4話「ステージ4」
- 第5話「<a href="https://kyushu-cc.hosp.go.jp/" rel="noopener" target="_blank">九州がんセンター</a>への転院」
- 第6話「IMRT(放射線化学療法)」
- 第7話「限定的な治療効果」
- 第8話「11時間の手術」
- 第9話「がん治療の終了」
- 第10話「心から幸せをかみしめて」
第4話「ステージ4」
2015年11月から口の奥が時々、チクッと痛み出したため九州中央病院で診てもらった福岡県福岡市在住の本園泰さん(60歳、2016年当時58歳)は、福岡赤十字病院を紹介される。そして中咽頭がんの疑いと告げられた。
“中咽頭がんの疑いが強い”
このとき「他人事(ひとごと)」から少しずつ「現実」に変わっていった。
でも“がん”その言葉を心の中で受け入れられない。
一生懸命「なんとかなるんだろう。今の医療なら何とかなるんだろう」そう自分を励ます。
それからは検査が続いた。
CT画像検査、MRI、PET-CT…
中でも極め付けだったのが、口から舌の奥の腫瘍を摘み取る生検。
鼻から内視鏡を入れるのではなく、口からだ。
動くと危ないので看護師たちが体と頭を押さえ「動かないでー」という。
そして金属でできたマジックハンドのようなもので、口から舌の付け根の部分をつまみ出す。
涙が出るし嗚咽(おえつ)するし、ゲホゲホ、オエオエして舌根の組織をちぎり取られた。
へとへとになりこんな検査は2度と受けたくない、そう思った。
一方、子供たちにはまだ詳しく説明しなかった。
心配させたくなかったからだ。
家族でゴルフに行った。息子、娘の夫、妻の父親と本園さん。
4人でゴルフを回り、プレー後に居酒屋で食事をとり、それからカラオケにも行った。
3人ともまだ“がん”のことを知らない。
家族と楽しんでいるこの時間この空間を「良い思い出にしたい」そんな寂しい気持ち交じりで過ごした。
2016年3月24日・午前、福岡赤十字病院。
本園さんと妻は神妙な気持ちで担当医の説明を聞いた。
「がんであることは間違いないので直ぐに入院してください。検査の結果、がん病巣が大きすぎて手術では取れません。まず放射線治療から始めたいと思います」
見せてもらったPET-CTの画像は、ベロの下のところが真っ赤に大きく光っている。
進行ステージを確認すると、「ステージ4ですよ」そう説明された。
「4の上は何ですか?」そう質問した本園さんに医師は、4までしかないと答える。
“とんでもないことになっているんだ…”
それがようやく解りだした時だった。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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