胃がん(腺がん、上皮内)ステージ1 サバイバー 中村玲子さんのストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】中村玲子さん 胃がん ステージ1 サバイバー
- 第1話「夫婦での起業と子育て」
- 第2話「全力で走っていた40代」
- 第3話「子育てと仕事と」
- 第4話「急な声のかすれ」
- 第5話「胃がん宣告」
- 第6話「草津総合病院へ」
- 第7話「腹腔鏡下手術(幽門側胃切除)」
- 第8話「ダンピング症状」
- 第9話「がんから2年が経って」
第9話「がんから2年が経って」
2015年、胃がん(腺がん、上皮内、進行ステージ1)と診断された滋賀県在住の中村玲子さん(70歳、2015年当時68歳)は、2015年9月3日に腹腔鏡下手術(幽門側胃切除)を受けた。その後は、強烈なダンピング症状に悩んでいたが、退院し、自分なりの食事の取り方を見つけ始めていた。
退院して1週間後の11月7日、長女と二人で、宮崎市へ旅行に出かけた。
暖かい所がいいだろうと長女に誘われて母娘2人の時間を楽しんだ。
11月の民生児童委員の定例会には復帰して、いつも通り会の司会を務めあげた。
みんなが中村さんの復帰を喜び、声をかける。
中村さんは、定例会の場で挨拶し、健康診断の必要性を熱を込め語った。
民生児童委員では、自ら始めた「ハンドベルの会」で、琵琶湖周航の歌(歌:加藤登紀子)を演奏する。
ハンドベル(ミュージックベル)で演奏するには、なかなか難しい曲だが、みんなで息をあわせて、気持ちをあわせて、上手に演奏できると表現し難い達成感を得られる。
病院のロビーや介護施設など、いろんな所で演奏するが、そのたびに聞いた人たちから喜ばれ、やりがいを感じる。
そんな生活に、また、戻っていった。
2015年の年末休暇、例年であれば、家族そろって海外旅行に行くところだが、手術してからまだ時間が経っていないので、この年は安全をみて自宅で過ごす。
そして、翌年(2016年)1月、家族全員10名で和歌山の白浜温泉に1泊2日で出かけた。
この旅行は、入院中に家族から受けたお世話に対する感謝の意味があった。
短い時間の旅行だったが、中村さんは「ここまで戻ってきた」そんな安ど感で胸がいっぱいになる。
2016年12月、退院してから2回目の年末年始、2年ぶりに家族でシンガポール旅行を楽しむ。
家族の協力のおかげもあり、旅行中、ダンピング症状があまりおこらず満喫できた。
そして、2017年・秋 がんから2年の日を迎えた。
中村さんの趣味の一つにガーデニングがある。
庭にはバラが30本以上、家の中には観葉植物やゼラニウムなどの鉢が100鉢以上もある。
あちこちの部屋に植物が溢れかえっていて、毎日の水やりに1時間以上かかるという。
自宅は、まるで花に癒される空間だ。
2年前の退院の日、夫がプレゼントしてくれた花は挿し木をして増やし、今でもしっかり咲いている。
昨年(2017年)は、自宅の裏の敷地で、3年ぶりに巨大椎茸(しいたけ)がいっぱいできた。
もうできないかな…とさみしく思っていたが、再び、できた椎茸に生命力を感じた。
(中村さん宅で咲いた月下美人)
さらに、5年間沈黙していた月下美人が、初めて花を咲かせた。
あまりにも綺麗なので、写真に収め、花を保存した。
家族と周囲の人に恵まれ、大好きな花と過ごす至福の日々。
がんを患ってから家族の結束の強さを実感した2年間。
娘たちはもちろん、娘の旦那さんたちも協力してくれた。
ふり返ると、長女に勧められてがん保険に加入したのが2014年12月。
当時、自分はがんにはならないだろうけど…、そんな風に思ったが、半年後に胃がんの告知。
がん保険は加入後、6ヵ月経たないと効力が発生しない。
半年と3日後に受診した胃カメラで、がんの診断が下りたため、ありがたく保険金を頂くことができた。
たった3日間の差だったが、その保険で経済的に助けられた。
すべてが、ありがたいことだと感じる。
生かされた命、かわいい孫たちの成長を見守りたい。
これからも、頑張って生きようとする気持ちがいっぱいの中村さんだ。
(手術から2週間後、草津総合病院の玄関にて撮影)
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
>>NPO法人5yearsの組織概要はこちら
-Sponsored-