胃がん ステージ1b サバイバー 吉田さんのがんに関するストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】吉田洋一さん 胃がん ステージ1b
- 第1話「悪性腫瘍の告知と胃の全摘の可能性。」
- 第2話「しめつけられるような心臓の痛み」
- 第3話「胃潰瘍の痕と内視鏡検査」
- 第4話「病理検査の結果。がん告知」
- 第5話「治療のことで悩むなんてしたくない」
- 第6話「ひとつひとつ取り戻す生活へ」
- 第7話「小さなことの積み重ね」
- 第8話「過酷なレースへの挑戦」
第6話「ひとつひとつ取り戻す生活へ」
早期の胃がんとして内視鏡による手術を受けた北海道江別市在住の吉田洋一さん(58歳、2009年当時50歳)は、リンパへの転移が疑われるため胃を切る手術を勧められた。
担当医から、手術を終えたばかりだから、今は体力の回復が必要として2回目の手術は7週間先の10月9日と伝えられた。
しかし体力に自信のある吉田さんは納得できない。
さっさと2回目の手術を受けてすべてを終わらせたかったのだ。
「先生、わかりました。もし手術のあと他の治療が必要なら、回復期間なんて要らないからすぐさま続けてやってください」
そして2ヵ月経った10月9日、二度目の手術を受ける。
お腹の4か所に穴をあけ腹腔鏡を使い胃の上半分を切除する手術だった。
手術を終え集中治療室(ICU)で目が覚めると身体が痛んだ。
こんなに痛いものとは想像していなかった。
このときベッドのそばにいた妻の手をにぎっていると一瞬でも痛みが和らいだ。
手術から3日後、吉田さんは点滴棒を持ちながら階段を上り、病院の屋上に上がる。
早く体を動かしたかったし、外の空気を吸いたかったからだ。
屋上に出ると北海道庁と会社が入っているオフィスビルが見えた。
「早く戻るぞー!」心の中でそう叫んだ。
階段を登れたことが自信になり翌日からは病院の階段を使いトレーニングを始める。
病院内の階段を3往復する階段練習を午前中に2セット、午後2セット。
信じられない頑張り屋だ。
身体を動かすことで「自分はまた走れる」という確信みたいなものが芽生えてくる。
ただ食事をした後に、食べたものが口まで戻ってくることがあった。
“ダンピング症状”
順調に回復はしているものの本来の自分ではないことがくやしい。
それでも再び元の生活を取り戻すことが目標の吉田さんは担当のお医者さんに聞いてみた。
「先生、退院したらお酒飲んでも良いんですよね!?」
それに対し「1ヵ月は控えたらどうですか?」と返され、飲んではいけないとは言われてないと解釈する。
そして退院(2009年10月28日)し自宅に戻った日の晩、ミニ缶のビールを飲んだ。
「抜群においしい」
まず一つ元の生活を取り戻した時だった。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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