胃がん ステージ1b サバイバー 吉田さんのがんに関するストーリーです。
このストーリーの目次
- 【ストーリー】吉田洋一さん 胃がん ステージ1b
- 第1話「悪性腫瘍の告知と胃の全摘の可能性。」
- 第2話「しめつけられるような心臓の痛み」
- 第3話「胃潰瘍の痕と内視鏡検査」
- 第4話「病理検査の結果。がん告知」
- 第5話「治療のことで悩むなんてしたくない」
- 第6話「ひとつひとつ取り戻す生活へ」
- 第7話「小さなことの積み重ね」
- 第8話「過酷なレースへの挑戦」
第5話「治療のことで悩むなんてしたくない」
会社の健康診断のあと2次検査を2回行い胃がんと診断された北海道江別市在住の吉田洋一さん(58歳、2009年当時50歳)は、手術が必要と言われ斗南病院を紹介された。
2009年7月27日、がんと診断された吉田さんの心はブルーだった。
3日前に今年最も楽しみにしていた「富士登山競走」大会が悪天候で短縮コースに変更され、来年こそは正規のコースを完走してやるんだと思った矢先に、がんの告知をされた。
いま思うことは大好きなランニングとお酒がもう無理なのかな?という不安だった。
だから会社に戻ってから産業医に相談してみた。
すると状況によってはまた走れるし、お酒も大丈夫。さらに斗南病院は評判の良い病院と言われとても安心した。
翌週、斗南病院に行くと面談した医師から9分9厘、胃がんで間違いないと言われ1週間後の手術が予定される。ただこうも言われた。
「やってみなければわかりませんが、内視鏡で組織を取ってリンパ節に転移していなければ胃を切らなくて済みます」
“内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)”という手術だ。
しかし、もしリンパ節への転移が疑われる場合、再び手術してその時は胃を切らなくてはならないとも説明された。
「胃を切らなくてもいい可能性があるならば、たとえ手術を2回受けることになっても、そっちにかけたい」
そう決心した吉田さんは担当医にそれでお願いする。
会社の上司に報告すると「しっかり治して戻ってきてほしい」と温かい言葉をかけられ送り出される。
8月11日、口からの内視鏡でそのESD手術が行われた。全身麻酔で3時間。
意識が戻ったとき、手術に付き添った奥様から「順調に終わったよ」と言われほっとした。
しかし退院間際に担当医から残念なことを言われる。
病理検査した結果、がんが深いところまでありリンパに転移している可能性がかなりある。医師として胃を切る外科手術を勧めるというものだった。
「(やはりそうだったか…)わかりました。切ります」
治療のことで悩むなんてしたくない。さっさと終わらせて元の生活を取り戻したい。
吉田さんは前向きだった。
この記事の著者
大久保 淳一(5yearsプロフィール)
日本最大級のがん患者支援団体 NPO法人5years理事長、本サイト(ミリオンズライフ)の編集人。
2007年、最終ステージの精巣がんを発病。生存率20%といわれる中、奇跡的に一命をとりとめ社会に復帰。自身の経験から当時欲しかった仕組みをつくりたいとして、2014年に退職し、2015年よりがん経験者・家族のためのコミュニティサイト5years.orgを運営。2016年より本サイトを運営。
現在はNPO法人5years理事長としてがん患者、がん患者家族支援の活動の他、執筆、講演業、複数企業での非常勤顧問・監査役、出身である長野県茅野市の「縄文ふるさと大使」として活動中。
>>新聞、雑誌、TV等での掲載についてはパブリシティを参照ください。
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